東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)120号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 原告、本件審決が本願考案をもつて第一引例及び第二引例に記載されたことを単に寄せ集めることにより、きわめて容易に考案できたものであるとしたことをもつて、判断を誤つたものである旨主張するが、この主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、前掲当事者間に争いのない本願考案の要旨と第一引例及び第二引例の各記載内容とを比較考量すると、本願考案は、その出願前公知の第一引例及び第二引例に記載された技術内容から、当業者がきわめて容易に推考しうる程度のものであると認めるを相当とし、これを左右するに足る証拠はない(原告は、本件審決は本願考案は第一、第二引例を単に寄せ集めたにすぎないとしたとして、これを非難するが、その趣旨とするところは、右認定のとおりであることは、その文言全体、とくに、実用新案法第三条二項の規定により実用新案登録を受けることができないと説示しているところから、きわめて容易に理解しうべきところである)。
この点に関し、原告は、本願考案は、引紐の手加減によつて、レコードとピックアップの最初の相対的位置が定まり、その結果、多数の音溝の中から、任意の音溝が採択されるところに(多数の中から一つが任意に採択されることは、第二引例の二つのうちどちらか一方が採択されるのとは本質的に相違する)、第一引例及び第二引例に期待することができない効果を奏する旨主張するが、このような効果及びそれをもたらす構成は、第二引例から当業者のきわめて容易に想到しうべきものと認めるを相当とする。けだし、本願考案の多数の中から一つを採択することと第二引例の二者から一を採択することとが本質的に相違することを確認すべき格別の証拠資料が存しない本件においては、二者択一の技術がすでに知られている場合に、これを推し広めて数者択一(数者のうち選択者の希望するものとは限らない一者を選択すること)に想到することが、当業者にとつて、「本質的に」といえるまで大きい差異、すなわち、重要な技術的困難さを余儀なくするものであるとは通例首肯しがたいところであるからである。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。(服部高顕 三宅正雄 石沢健)